いい講義をする先生

いい講義をしているベテランの化学科の先生が、今日高校で化学を教えるそうです。それで、とても緊張しているというのです。生徒からはそういうようには見えないかも知れませんね。

化学オリンピックの出題範囲で、日本では教えられていない所を補習強化する担当をしていた教授がいました。「すぐ理解するんだよね。でも折角教えても、みんな医学部に行っちゃうんだよね」と悔しそうに言っていました。

高校生で、数学、物理学、化学、を迷っている人はメールでも、電話でもお問い合わせいただければ、少しはフォロー出来ると思います。私は若い頃は数学科にいた事がありますが、周りからは宗教学科と言われていました。物理学は高校での数学っぽくなって、化学は高校での物理っぽくなります。化学オリンピックで教えていた素晴らしかった先生は、「物理でお手上げ、数学ではわけが分からなくなってしまった!あれは参ったね!」と笑いながら話していました。「化学もすぐわかんなくなるんだけどさ~」と。抽象度が一気に上がるので、びっくりします。大体夏休み前に「頭いいと思っていたけど、実際は全然ダメなんだな」と多くの犠牲者が出ます。今までのやり方、気持ちよかったファンタジーを捨て去って、正しい事を鵜呑みにしていかないとそうなってしまいます。今までの知識を捨て去って、より厳密な事を鵜呑みにしていかないと挫折します。

あと、基礎という表題のついた科目で「すごく難しいですよ。基礎じゃないですよこんなの!」と嘆いていた生徒がおりました。「基礎とは容易さを表しているのではなく、重要さを示しているんですよ」というと、教員は喜んでいました。イプシロンデルタ論法とかボルツマンの原理なんかは基礎ですけど、とっつきにくかったり、道のりが長かったり感じると思います。

昨日も美容師さんと、そんな話をしていました。その美容師さんも、長い間基礎を受け入れられなかったそうです。今は基礎を受け入れているので、毎日仕事が楽しいと言います。基礎に則った応用も出来ます。その方は数学が苦手だと言いますが、考え方はとても数学的です。しかも、良く理解しています。その美容師さんも言いますが、はじめは物凄く基礎を受け入れにくかったと言います。最初から応用ばっかりやりたいと思ってしまいます。その理由は、そんなのは誰でもできる簡単な事だからです。そこのサロンは、みんな髪も綺麗になって肌も綺麗になりました。基礎を身に付けて、さらに深堀していっただけです。出来ないうちは、その場をごまかす事をやるんですけど、出来るようになるたびに、ごまかしが減っていくんです。それって、理学の習得と一緒ですよ。多くの生徒たちも、以前の洗脳を捨てられずに挫折してしまうのです。余計な事を捨てていき、基礎を深堀していけるというのは、奇跡のようなものです。先輩に「これやってみろよ」と言われて、頭では納得いかないのに、それをやり通してわかるような事だったりします。美容師さんや、お客様に「良く受け入れて下さいましたね」というと、とても面白い話を沢山してくれるし、こちらもその方達の事を大好きになります。髪や肌だけじゃないんですけど、良くなるには、どうしても自分で自分の背中を押さなければ無理です。恐怖と誘惑に打ち勝って、やっと楽しくなります。それは、良くなった経験がある人は全員が知っています。だから、良くなった経験のある人同士は喜びます。また、自分が良くなった時より、お客様が良くなった時の方が喜びが大きいです。これも体験した人は全員言います。体験して無い人は、最初わからないのですが、それを体験したときに、歓喜してすぐ教えてくれます。体験した人しか分からないという事は色々あります。