近所の子どもが遊びに来てくれて、三葉虫の化石を渡しておくと、えらく気に入ってくれました。
大人はわかってくれませんが、教科書に載るレベルで綺麗な三葉虫なのです。
また、欲しがってくれて、それもうれしかったです。
オパーリンは化学進化説、単純な分子から、複雑な生体分子へ成長していったという推論をした。
無機物→カルボン酸→脂質→原始生物→ と
(ハヤブサ2の匂いがしますね)
それから30年後の、ユーリー・ミラーの実験(1953年)が面白くて、水と、メタンと、アンモニアと、水素と放電で、アミノ酸が出来るという実験です。年配の方は、教科書でご存じなのですが、今は教科書から消されています。消された理由は、古代地球の大気の組成はそれらとは異なるという事で、ユーリー・ミラーの実験から生命のスタートというのはちょっと、考えにくいとされたからです。古代の気体は、それらの還元型のガスではなくて、酸化型のガスだったという事で、それらでの実験の試みはやっぱりされていたそうです。しかし、歯切れが悪い。また、どのような条件だったかも全部謎。(2007年とかの段階)でですね。結論から言うと、近年、酸化型のガスから、生命の元になる分子が出来ました。二酸化炭素と、窒素と、水中プラズマ(稲妻の再現)、で出来たのですが、最初は全然できなかったそうです。電極に鉄を使ってみたら、いきなりできたんですね。二酸化炭素を供給すると、一酸化炭素とC2が生成されていて、一酸化炭素と水素で、ラジカルが出来て、ホルムアルデヒドが出来る。C2が出来たらC=C結合の形成で、炭素骨格が長くなっていく。あとは、窒素からNHが反応中間体として現れ、アンモニアが生成されればいいわけです。アンモニアも、アミノ酸合成でのストレッカー反応に必要。で、NHラジカルがあって欲しいのですが、ありそうでそのままでは、全然出ないというのですね。
後期重爆撃期という41~38億年前は、地球へ今の千倍程度隕石が落ちてきたそうで、隕石には鉄が含まれているんですね。それで、プラズマを発生させる水中の電極を鉄に変えたら、あら不思議NHラジカルが生成されたのです。という事で、酸化型のガスと、隕石と、稲妻で、アミノ酸が出来る事が分かりました。すごい。
余談
・稲妻と水のプラズマは実はミソで、水のプラズマを研究している先生が行った実験。で、プラズマは電子密度と電子温度で、キャラクタライズ出来て、水のプラズマは、稲妻と同じだとわかる。研究室は発光スペクトルが十八番。6月にはハヤブサ2の土がやって来るそうです。
・私は初めて知りましたが、キュリー夫人は新しい元素の発見を発表すると、みんなに馬鹿にされていたそうです。発光スペクトルをとるのが上手な友人のおかげで、新元素であることを証明してくれたそうです。科学者も友達に助けられるネタが多いです。アインシュタインも二回ぐらいそういうエピソードありますよ。友達いないとさっぱりだったという経験はみんなするものです。私もあの人、この人に、出合っていなかったら詰んでいました。
・先生の本、「見える!使える!化学熱力学入門」はアマゾンで満点になっています。ユーチューブの化学熱力学の解説動画でも、先生の本を参考にしているものがありました。
・よくわかる熱力学 前野 昌弘 著 が発売されました。友達の名前が載っています。当然ですが、彼はめちゃくちゃ賢いです。三葉虫の化石を気に入ってくれた子の親です。
・毒に毒を混ぜたら生命の源アミノ酸が出てくる
・宇宙の99%の物質はプラズマで、高エネルギー状態。言われると、ああ本当だってなるんですけどね。見えている星のほとんどはプラズマですからね。
・ユーリー先生は重水素を発見したノーベル化学賞をとった大先生。ミラーは院生で、生命の起源の実験をやりたいと言ったが、大先生は大反対したらしい。しつこく言って、一年その研究を許されたら、アミノ酸が出来た。ボスに反対されても、やらせてもらえるまで言い続けましょう。
・立て続けに科学者の発表を聴いていくと、すごい!という事がみんなにあるんですね。ほんとちょっとした頓智であるとか、工夫で、うまく行ったり、数ヶ月かかっていた実験が二日で出来るようになったりするんですね。
・目の前にある4億年前の三葉虫。それを思っていると、だんだん不思議な気持ちになってきます。人間最古の名前の記録が5000年ぐらい前だそうです。ヒトが父親を発明したのは1万年程度前だそうです。ちょっと前になると、今のヒトとはずいぶん変わります。また、4億年前だと、ピカイアから魚類ぐらいになった頃でしょうか。アミノ酸からヒトまでに41億年でなるのでしょうかね。