二重スリットの実験で,観測した場合と,観測していない場合で,電子が干渉縞を表さなかったり,表したりする.ですから,「見ているか見ていないかで現象が変わる」なんて言う人もいます.実際そう思われていた時代もありましたし,40代後半の方はそういう認識のままの方がほとんどだそうです.実際は,観測を行うことにより,確実に電子に影響を与えてしまい,きちんと数式でその影響を追いかけることが出来て,観測するとたちまち干渉縞を表さなくなる事もわかっている.人間が見ているから見ていないからとか,そして哲学的な問題ではなくて,きちんと科学であって,観測という行為で,何かを与えたり何かを検出することによって,波としての性質は消えてしまう.物理学者だと波動性粒子性という言葉はもう使わないようです.化学ではそこまで求めないので使います.有機化学の書籍では,シュレディンガー方程式の波動関数の2乗を電子の存在確率と書かれている場合が多いがそれも厳密にはおかしくて,波動関数の2乗の確率で電子が見つかると表現しないと,あとから矛盾が出てくるそうです.先生によってパズルのピースになっていて,誰がインチキでというわけではありません.求めている正しい程度が違うだけです.数学をやって,真面目に物理の数式を見ると頭が混乱します.物理で言う極値は,本当にゼロではなくて,丁度良く小さいという意味だという了解を誰かから聴くまでは受け入れられません。しかし、→0と書いてあっても、インチキではありません。
また,量子力学での遠隔作用も,白と黒のボールを箱に入れて,一個取れば,そのボールの色がわかり,必然ともう一つのボールの色が決定される.これも,そうじゃないとか,そうであるとか,色々言われていたが,今に来て,今のところ遠隔作用が無いとの事.
二重スリットと遠隔作用は,わからなかったですし,それを追い求めていた人たちは物理会でも,それは科学ではなく哲学だと揶揄されながら,真面目にコツコツやっていたそうです.今は,そんな不思議な話ではないし,高速を超えるなにかも,今のところは人間は見つけていないそうです.このような情報は,実はあまり知られていなくて,知っている存在は,40歳ぐらいまでの物理学者だそうです.こういう事は知らなくても,支障がないことが多いからだとか.でも,こういう事は知っておいたほうがいいと思うと物理の先生は言います.
物理の先生の同級生が ”驚異の量子コンピュータ 宇宙最強マシンへの挑戦 藤井啓祐著” を出版されたとのことで,読み物として量子力学を読んでみたい方にお勧めされていました.数式は一切出てこない上に,全く嘘がなく書かれている良書との事です.(数式が出てくるものは ”新板 量子論の基礎 その本質の優しい理解のために 清水明 著”) 清水先生のホームページも面白いです.
量子コンピュータの本ですが,量子力学を読み物として知りたい方におすすめ.量子コンピュータでは明らかに日本一の先生だそうです.その方を知る方は,ずーっと日の目を浴びないで,一人で研究を進めていたのを知っていました.
「ものになるかどうかの恐怖って,無いのでしょうか?」
「それはありますよ」
「しかし,どうして続けられたのでしょう」
「物理学者はちょっとネジが取れているところがあります」
「理解できました」
物理学者でなくても,だれもが”それ”がものなになるかどうかなんてわからないですし,恐怖を感じているときもあります.みんなそういう経験はあるでしょう.お客さんにも言います.「怖かったでしょう,こっちの事なんて信じていいのかわからないんだから」そして,こう言います.「自分も同じです」