2025年、量子コンピュータの歴史において一つの節目といえる発表がありました。
NTTとOptQCが、スケーラブルで信頼性の高い光量子コンピュータの実現に向けて正式に連携協定を結んだのです。
掲げられた目標は、2030年までに「100万量子ビット」。
これは、現行の量子技術の枠組みを大きく押し広げる挑戦です。
本記事では、この発表がなぜ注目されているのか、
そして光量子コンピュータが“実用化に向けた有力候補”として語られる理由を、できるだけわかりやすく整理します。
■ なぜいま量子コンピュータなのか?
新薬開発、材料設計、金融市場の最適化、気候変動のモデリング。
現代のコンピュータでは膨大な時間を要する計算が、世界中で課題となっています。
量子コンピュータは、こうした「古典計算では難しい」領域に新しい可能性をもたらす技術です。
とはいえ現在の量子技術には、
- ノイズの多さ
- エラー訂正の難しさ
- 超低温・真空といった特殊な環境の必要性
- 大規模化の困難さ
といった課題が残っています。
これらを乗り越えることが、量子技術の社会実装には欠かせません。
■ 光量子コンピュータという“常温で動く”アプローチ
そこで注目されているのが「光量子コンピュータ」です。
光には以下のような特徴があります。
- 常温・常圧で動作し得る
- 消費電力が比較的低い
- ノイズの影響を受けにくい性質
- 通信技術との親和性が高い
こうした特性から、光方式は他方式に比べて“スケールしやすい”と期待されています。
今回のNTT × OptQCの連携が大きく扱われているのは、
この光方式の実現に必要な要素技術を、日本の企業が高いレベルで保持している点にあります。
■ NTTとOptQCは何を持っているのか?
◎ NTT
光通信分野で世界的に高い評価を得ている企業で、特に以下の技術が量子分野と相性が良いとされています。
- 光増幅技術
- 波長・時間を用いた光多重化技術
- 誤り訂正につながる光デバイス
- IOWN(光ネットワーク構想)で培われたインフラ技術
さらに、光量子相関の生成に関する研究でも高い成果を報告しています。
◎ OptQC
東京大学の長年の光量子研究を背景に生まれたスタートアップです。
- 常温・常圧での光量子動作のデモンストレーション
- 光増幅器を用いた広帯域量子測定
- 誤り訂正に資する量子ビットの生成
- NEDOによる1万量子ビット規模の開発プロジェクト
光量子技術を実際の計算機として成立させるための知見を、国内で最も蓄積しているチームの一つです。
■ 2030年までに100万量子ビットへ
今回の協定の中心目標は、
2030年までに、100万量子ビット規模の光量子コンピュータの構築を目指すこと。
これは単なる象徴的な数字ではなく、
“100万物理量子ビット → 数千論理量子ビット”という、
実用的な量子計算へ到達するための一つの目安とされています。
この規模に到達すると、以下のアプリケーションが現実味を帯びてきます。
- 新薬・新素材の量子シミュレーション
- 金融市場の高速最適化
- 大規模組合せ問題の解決
- 量子AIの基盤形成
世界の計算体系が大きく変わる可能性が開かれます。
■ 日本にとっての意味
各国は独自方式で量子開発を進めています。
- 米国:超伝導方式
- 欧州:イオントラップ方式
- カナダ・英国:光方式(スタートアップ中心)
どの方式も有望ですが、
超低温・真空・巨大設備が必要となるなど、それぞれに大きな技術的ハードルがあります。
光方式は、
- 通信技術と同じ基盤でスケールしやすい
- 室温で動作し得る
- エネルギー効率が高い
といった点から、
“実用化に向けた現実的なアプローチの一つ”として注目が高まっています。
NTTとOptQCが本格的に協力することで、
日本がこの領域で重要な位置を占める可能性が広がります。
■ 光量子コンピュータが社会をどう変えるか?
● 新薬・新素材開発
分子レベルの量子状態を直接扱うシミュレーションにより、素材研究が大きく進歩すると考えられています。
● 金融
ポートフォリオ最適化やリスク解析など、高次元最適化問題の扱いが変わる可能性。
● 気候変動モデリング
複雑系を扱う計算能力が高まり、より精度の高い予測が可能に。
● 量子AI
光量子の“波としての性質”を活かした、新しい推論モデルの誕生が期待されています。
■ まとめ:日本の量子技術が大きく動き出した
今回のNTT × OptQCの発表は、小さなニュースにとどまりません。
- 室温での動作可能性
- スケール性
- 誤り訂正・多重化への展望
- 日本企業の協働による技術蓄積
光量子方式は、
“実用化に近いアプローチの一つ”として確かな注目を集めています。
そして、この動きは2030年に向けて、
量子計算の風景を大きく変えていく可能性があります。
光技術が切り拓く未来に、静かに期待が高まります。
そして、長持ちするストレートパーマ(セオリーRストレート型技術)は“量子社会でも消えない”
観測されたとき、どういう状況でどこに存在しているでしょうか。業界のエントロピーは下がり続けます。