この前にご紹介した本が届きました。
著者の後先生は、高校時代には化学を習いました。近畿大学付属新宮高等学校の校長をされて、いまは和歌山大学の客員教授をされております。
私は何かの縁か、化学をやっております。私の好きだったメスバウワー分光法の山田康洋教授は「大学から数学は何が何だか分からなくなって、物理は数学っぽくなって、化学は物理っぽくて、数学、物理には打ちのめされました( *´艸`)化学もすぐわからなくなるんだけどね!」と言っておりました。また、先生は「最先端って、ずっと後に思うかも知れないですけど、そんな大したことないですよ。すぐ最先端ですからね。教授の仕事は、それをやった人がいるかどうかぐらいは、皆さんよりは知っているぐらいですよ。とニコニコしていました。山田先生は、”私達が日常接している化合物は、私達の住んでいる常温・常圧の環境下で安定に存在する化合物です。しかし、化合物はこればかりではなく広大な宇宙空間には特別な環境のもとでしか存在することのできない化合物がたくさんあります。当研究室の目的は、普通にはない特異な化合物を創るこのような研究によって、私達が接している化合物の結合や反応の本質を知ることができ ます。”と仰るので、「いいですねー、特異なものを作って、普遍的なものをあぶりだすんですね!!!」というと「私の研究はお金にならないからね~↓」と言って、「私はお金にならない研究の方が好きなんですよ!!!」というと、先生は少し目を輝かせてくれました。先生は専門以外の化学の話も沢山持っていて、近くにいるだけでどんどん知識が増えていくので、家に住み着いて欲しいぐらいでした。先生は亡くなられてしまって、有機化学合成の研究室に入ってみた感想は、膨大な事と、わからない事を検索してもどこからも出てこなくて、それを担当教授に言うと、笑いながら「出ているはずないじゃない。ここでしかやっていないんだから。」と言われてしまいました。分子設計したものの評価にたどり着く前の、合成経路を未知のものから既知にしてはいるものの、日々の事なので最先端をやっているという実感がわかないものです。また、面白いは面白いです。しかし、やる事が沢山あって時間に追われてしまいます。合成、実験、論文、報告会、雑誌会、学会、という感じで勉強出来る時間は貴重でなかなか作れません。数学の抽象度の厳しさとはまた違い、圧倒的な物量の多さに圧倒されます。
数学科、物理学科、化学科、で迷っていたら、お声をかけてくれればノリを話せると思います。YouTubeでも若い学者さんが話してくれていて、大体感想は同じです!入る前に、どんな勉強をするか知っておいた方がいいです。数学科は、受験数学みたいなことは一切やらないですよ。最初にやったのがこれでした。
熊野に関心のある方も、お声をかけていただければ、ご紹介できる事もあります。体力に自信がある!まだまだ、身体が動く!という、うちにも行っておくのがお薦めです。作られていない所に行けるし、いられるからです。それがどういう事かは、やってみるとわかります。