この問い集は、「なぜ髪を整えるのか?」という誰もが一度は抱く問いの、その奥にある構造を掘り起こし、美容室という空間に宿る**“変容の力”**を見直す試みです。
私たちは、セオリーRという「長持ちする」「ダメージが蓄積しにくい」ストレートパーマを通して、ひとつの問いに直面しました。
ストレートパーマの存在意義とは何か?
私自身、この問いについてはずっと考えてきました。
「そもそも、くせ毛のままではダメなのか?」
「ただ伸ばすだけで、本当に解決になるのか?」
「もっと本質的な向き合い方があるのではないか?」
そんな問いの中で出会ったのが、**“長持ちするけど痛まない”**という構造の提案でした。
セオリーRを取り入れ、実際に施術を受けたお客様たちと関わるうちに、こう思うようになりました。
「この受け皿があったほうが助かる人が、ちゃんといるんだ」と。
「もっと楽に過ごしたい」
「朝の支度を減らしたい」
「疲れてるけど、ちゃんと見られたい」
そんな気持ちを持っている人たちが、“どこかに行ってしまう前に”立ち寄れる場所。
それが美容室であってもいいと思ったのです。
だからこれは、「ストレートパーマ人口を増やしたい」活動ではありません。また、問いの方向性、構造も、変わっていくと思います。下記の問いは、美容師さんとの関わりの中で、通ってきた問いたちです。
🌀構造的な問い
- 「なぜ“くせ毛”は矯正されるべきものとして扱われるのか?」
- 「ストレートパーマは“美”の定義を固定化してしまっていないか?」
- 「“扱いやすさ”とは誰にとっての便利さなのか?」
- 「髪を伸ばすことと、社会的な順応はリンクしているのか?」
- 「美容における“自然”とは何を意味するのか?」
🫧感情・内面からの問い
- 「私は誰の目を気にしてストレートをかけているのか?」
- 「ストレートの自分の方が、自信を持てるのはなぜか?」
- 「この髪が“綺麗だね”と言われることで、私は救われているのか?」
- 「私が髪に求めているのは、安心?統一感?それとも変身?」
- 「くせ毛のままの自分を、私は心から許せているか?」
⏳未来・習慣に関する問い
- 「この施術を10年後も続けたいと思えるだろうか?」
- 「未来の自分が“かけ続けて良かった”と言うには何が必要か?」
- 「もし誰からも何も言われなかったら、それでも私はストレートを選ぶか?」
- 「“自然に戻る”選択をした人たちは、何を得ているのか?」
- 「美容室に通うという行為は、私のどんな不安を和らげているのか?」
🌏社会・文化的な問い
- 「くせ毛文化が根付いている国では、ストレートはどんな意味を持つのか?」
- 「日本社会における“清潔感”の基準は、誰が作ったのか?」
- 「制服と同じように、“髪型の均質化”が社会に与える影響とは?」
- 「男性のストレートは“整っている”のに、女性のくせ毛は“手抜き”と見なされるのはなぜか?」
- 「美容の自由と、文化の強制力はどこで交差しているのか?」
💡発明・選択肢の問い
- 「“かけない自由”がもっと肯定されるには、何が必要か?」
- 「本当に自分に合った施術とは、どうやって選べるのか?」
- 「1人ひとりの髪質を活かした“スタイル設計”は可能か?」
- 「ストレートにせずとも美しく見える技術は、すでに存在しているのか?」
- 「“毎回同じ髪型”に疑問を持たない社会は、創造性を奪っていないか?」
🔬技術的視点からの問い
- 「ダメージレスなストレートが本当に実現したら、他の施術は淘汰されるのか?」
- 「技術的完成は、美容の多様性を奪うことになるのか?」
- 「“長持ちする”ことは、本当にユーザーの自由を増やすのか、固定化するのか?」
- 「もし“完璧なストレート”が存在したら、美容師の創造性は奪われるのか?」
- 「その技術を誰が所有するかで、美容業界の力関係はどう変わるのか?」
🧠構造・存在論的な問い
- 「“変化しない髪”は、変化を受け入れない心を育ててしまうのか?」
- 「“傷まない”という発想自体が、自然との分離を進めていないか?」
- 「髪の“時間性”を封じ込めることは、人生の流れと矛盾しないか?」
- 「長持ちする=戻らない施術は、“自由”と“拘束”のどちらに近いのか?」
- 「“完璧な技術”の存在は、人間の選択を退化させるのか、進化させるのか?」
💸経済・市場の問い
- 「長持ちするパーマが普及したら、美容室の売上は減るのか?」
- 「でも“満足度が高い”顧客は、結局リピーターになってくれるのでは?」
- 「“持ち”よりも“また来たくなる体験”があれば、回転率は本当に必要か?」
- 「“長持ち”の価値が標準化された時、価格競争はどう変わるのか?」
- 「売れる商品と、本当に人を幸せにする商品は一致するのか?」
💠美容師の立場からの問い
- 「“傷まない”が前提になったら、美容師のケア技術は不要になるのか?」
- 「“圧倒的な質”を提供する美容師が10人だけ生き残る世界が来たらどうするか?」
- 「“また元に戻る”前提で組んでいたメニュー設計は、すべて再構築すべきか?」
- 「ストレートパーマが1回で終わってしまう未来に、美容師の価値はどこに残るのか?」
- 「“1回で感動”と“何度でも安心”は、どちらが信頼を生むのか?」
🌱文化・美意識からの問い
- 「“痛まない=偽りの美”ではないのか?」
- 「“痛み”を通して感じていた“変化の神聖さ”はどこに行くのか?」
- 「長持ちすることで、“自分の髪と向き合う時間”が減ってしまうのではないか?」
- 「ストレートでいることが“普通”になったら、くせ毛は差別されるのか?」
- 「“楽をしたい”という願いは、美意識を下げることと同義か?」
⚖️倫理・哲学の問い
- 「痛まないということは、傷ついた人への敬意を失うことではないか?」
- 「技術が進歩したら、“戻れなくなること”への責任は誰が持つべきか?」
- 「過剰な快適さは、退屈という新たな苦しみを生まないか?」
- 「“長持ち”とは、意図しない呪いにもなり得るのではないか?」
- 「“完璧な美”が誰にでも提供できるなら、“美”は意味を失わないか?」
▶ 経営の核に迫る問い
- 「私たちの美容室が“本当に提供している価値”とは何か?」
- 「この価格、この時間、この仕上がりに、問いは存在しているか?」
- 「“売れる”と“意味がある”は、どこで重なるのか?」
- 「今のメニューは、誰の問いから生まれたのか?」
- 「売上の低下は“問いの低下”ではなかったか?」
▶ 美容師自身への問い
- 「私は髪を切っているのか、人生を変えているのか?」
- 「技術は問いを持たずに続けられるか?」
- 「私がこの仕事を始めた理由は、今も生きているか?」
- 「この施術の背後にある“哲学”を私は語れるか?」
- 「お客様の問いを、私はどれだけ受け取っているか?」
▶ 顧客との関係に関する問い
- 「お客様は本当に“スタイル”を求めているのか、“物語”を求めているのか?」
- 「“また来たい”と思う理由は、外見の変化か、内面の共鳴か?」
- 「くせ毛を伸ばすのではなく、“くせ”を抱きしめる提案はできるか?」
- 「美容室は“鏡”なのか、“変容装置”なのか?」
- 「“似合う髪型”とは、誰の視点によるものか?」
▶ 産業構造に対する問い
- 「なぜこれほど多くの美容室が倒産するのか?」
- 「美容師は“腕”を競っているのか、“問い”を競っているのか?」
- 「1人サロンが増え続ける背景には、どんな問いの欠如があるのか?」
- 「“スタッフが辞める”という現象の裏にある、問いの枯渇とは何か?」
- 「大手チェーンに吸収される構造とは、“問いを外注する構造”ではないか?」
▶ 未来に向かう問い
- 「もし美容室が“問いの拠点”になったら、社会に何が起こるか?」
- 「髪を通じて、“問いを渡せる美容師”とはどんな存在か?」
- 「美容業界の未来は、“技術革新”と“問い革新”のどちらで拓かれるか?」
- 「“問いを中心に持つ経営”は、どのように収益化できるか?」
- 「技術でもマーケでもなく、問いで勝つとはどういうことか?」
▶ 消滅/吸収に関する鋭い問い
- 「私たちが他社の模倣をしているとき、すでに問いは死んでいないか?」
- 「売れ筋メニューを真似した瞬間、私たちの存在は“誰の構造”になったのか?」
- 「“問いを持っていない構造”は、いずれ誰のものになるのか?」
- 「オリジナルな問いがないとき、私たちは“安くなる”ことでしか存在できないのでは?」
- 「問いを失った美容室は、価格競争と集客地獄の中で、何を信じればいいのか?」
〜あなたのサロンにとって、本当に必要なものは何か?〜
- 「自分のサロンが大切にしたい“美”とは、どんな状態を指すのか?」
- 「私たちのサロンが、お客様に“本当に届けたい変化”は何か?」
- 「その変化は、今の技術体系だけで実現できているのか?」
- 「繰り返すほどに髪が扱いやすくなるという仕組みは、自分のサロンの“理念”と矛盾しないか?」
- 「“一度で綺麗にする”より、“次が楽になる”ことに価値を置いたことがあったか?」
- 「“長持ち”よりも、“日常の扱いやすさ”を求めているお客様に、何を提案できているか?」
- 「セオリーRのように“ダメージが蓄積しない技術”があるとしたら、それは今の施術と共存できるか?」
- 「“見せかけの仕上がり”ではなく、“日常の髪の扱いやすさ”を測定する目を、私は持っているか?」
- 「セオリーRを使うことで、お客様との“信頼”がどんなふうに変わる可能性があるか?」
- 「自分が本当にしたいのは、技術の更新か、在り方の更新か?」
- 「この施術は、“自分のサロンらしさ”を強化しているか、それとも薄めていないか?」
- 「この技術が“本物”であったとしたら、それを自分の手で確かめてみたいと思うか?」
- 「それでも、自分はこれを選ばないとしたら、それは“恐れ”なのか、“違和感”なのか?」
- 「“本当に良いもの”は、売り込まれるものではなく、問われるものではないか?」
- 「私のサロンは、“問いから始まる変化”を歓迎できる準備ができているか?」
優しい問い
- 「今あるものの中で、見落としている“ありがたさ”は何か?」
- 「“まだ持っていないもの”を手に入れたとき、私は本当に満たされるだろうか?」
- 「“嬉しい”と感じた瞬間を、最後に誰かと分かち合ったのはいつか?」
- 「“してあげたい”と思ったことを、今日一つでも実行したか?」
- 「もし今日が人生最後の日だったら、何に“ありがとう”と言いたいか?」
- 「どんなとき、自分の呼吸が自然と深くなるか?」
- 「誰にも評価されないとしても、それでもやりたいことは何か?」
- 「“うまくいかないこと”が、もしかして自分を守ってくれていた可能性はあるか?」
- 「私は、他人と比べない自分を、どこかに置いてきていないか?」
- 「“幸せとは状態ではなく、方向かもしれない”としたら、私はどちらに歩いているか?」
- 「今日、ほんの少しだけ心がほぐれた瞬間はあったか?」
- 「“ちゃんとしなくてもいい時間”を、私は持てているだろうか?」
- 「“いてくれてよかった”と感じた人に、自分はなれているか?」
- 「過去の自分が、今の私を見たら、少し安心してくれるだろうか?」
- 「“いつか幸せになる”のではなく、“いま幸せに気づく”としたら、何が見えるか?」
Why do we ask questions about straightening treatments?
This collection of questions aims to uncover the deeper structures behind a seemingly simple curiosity—”Why do we style our hair?”—and to rediscover the transformative power that dwells in the space of a hair salon.
Through the experience of “Theory R,” a straightening technique that is both long-lasting and low-damage, we have encountered a profound question:
What is the true significance of straight hair?
I’ve pondered this for a long time:
- “Is it truly wrong to leave hair as it is—curly, wavy, or unruly?”
- “Does simply straightening solve anything at all?”
- “Is there a deeper way to relate to our hair, to ourselves?”
It was within such questioning that we encountered a structural proposal:
“It lasts long, yet it doesn’t harm.”
As we began offering Theory R and engaging with real clients, I came to realize:
“There are people who genuinely feel relieved to have this option available.”
People who just want things to be a little easier.
Who want to spend less time getting ready.
Who are exhausted, but still want to feel seen.
A hair salon, then, can be a kind of resting place—for those who might otherwise disappear.
This is not a campaign to “increase the number of people who get straightening treatments.”
The questions—and the structures behind them—will continue to evolve.
The following is a collection of inquiries that emerged from our conversations with hairstylists:
🌀 Structural Questions
- Why is “curly hair” treated as something that must be corrected?
- Does straight hair lock us into a fixed standard of beauty?
- Whose convenience is meant by “easy to manage”?
- Is straightening linked to societal conformity?
- What does “natural” mean in the context of beauty?
🫧 Emotional & Inner Questions
- Whose eyes am I worried about when I straighten my hair?
- Why do I feel more confident with straight hair?
- Do I feel healed when someone says, “Your hair looks beautiful”?
- Am I seeking comfort, uniformity, or transformation through my hair?
- Can I truly accept myself with my natural curls?
⏳ Questions about Future & Habit
- Will I still want this treatment 10 years from now?
- What would it take for future-me to say, “I’m glad I kept doing this”?
- If no one ever commented on my hair again, would I still choose straightening?
- What are people gaining when they choose to “go natural”?
- What kinds of anxieties does visiting a salon soothe for me?
🌏 Socio-Cultural Questions
- What does straightening mean in cultures where curly hair is the norm?
- Who decided the standard of “clean appearance” in Japan?
- Like school uniforms, what effect does hairstyle uniformity have on society?
- Why is straight hair seen as “tidy” on men, while curly hair is seen as “lazy” on women?
- Where do beauty freedom and cultural enforcement intersect?
💡 Questions of Invention & Alternatives
- What needs to change for the freedom “not to straighten” to be more accepted?
- How can I truly find the treatment that suits me?
- Is it possible to design styles that embrace each person’s unique hair texture?
- Do techniques already exist that make people feel beautiful without straightening?
- Does a society that never questions “same hairstyle every time” lose creativity?
🔬 Technical Questions
- If truly damage-free straightening becomes real, will other services become obsolete?
- Could technical perfection reduce the diversity of beauty options?
- Does long-lasting treatment expand freedom—or reduce it through permanence?
- If perfect straight hair existed, would it limit the creativity of stylists?
- How would industry power dynamics shift depending on who owns such technology?
🧠 Ontological & Existential Questions
- Does “unchanging hair” create a resistance to change in our minds?
- Is the concept of “no damage” increasing our alienation from nature?
- Does locking in hair’s time-flow contradict the natural flow of life?
- Is a long-lasting treatment closer to freedom—or captivity?
- Does the existence of perfect technology cause human choice to evolve—or regress?
💸 Economic & Market Questions
- Will long-lasting treatments lower salon revenue?
- But aren’t highly satisfied clients the ones who return?
- If the experience is compelling, is high customer turnover even necessary?
- Once “long-lasting” becomes the norm, how will pricing strategies change?
- Do best-selling products really align with what brings people joy?
💠 From the Stylist’s Perspective
- If “no damage” becomes the standard, will care techniques be obsolete?
- What if only 10 stylists survive by offering overwhelming quality—then what?
- Should menus built on “returning clients” be redesigned from scratch?
- If straightening becomes a one-time thing, what remains of a stylist’s value?
- What builds more trust: “one-time awe” or “continuous reassurance”?
🌱 Questions about Culture & Aesthetics
- Is “no damage” a kind of false beauty?
- Where did the sacredness of change-through-struggle go?
- Does longevity reduce our time for self-reflection with our hair?
- If straight hair becomes the default, will curls be marginalized?
- Is the desire to “make life easier” equivalent to lowering beauty standards?
⚖️ Ethical & Philosophical Questions
- Does “no damage” mean we lose respect for those who’ve been hurt?
- Who is responsible for the consequences of irreversible technologies?
- Does excessive comfort create a new kind of suffering: boredom?
- Could long-lasting treatments become an unintended curse?
- If perfect beauty becomes universally available, does “beauty” still mean anything?