有機化学研究室では、重要な反応を仕掛ける際、ガラス器具の洗浄に時間をかける先輩を見てきました。その洗浄の様子を見るだけで、今日は重要な実験が行われるとわかりました。何日もかけて作り上げた成果を、つまらないミスで失いたくないからです。器具を洗って、乾燥機に入れて、バンッと扉を蹴るのが儀式でした。乾燥器の扉が壊れていて、蹴らないとちゃんと閉まらなかったのです。それで、淑女も気合の蹴りを入れるので、面白かったです。
一方で、何度も失敗を重ねる人もいました。洗い方をみていても、なんだかダメそうな雰囲気が漂ってきます。また、失敗しない人に限ってリカバリー出来るように、手の届くところに必要になるものを全て用意していました。アシュラマンのようにはいきませんので、丁度いい場所に色々セットしておきます。失敗する人に限って、リカバリー出来るように準備されていません。また、失敗する人ほど、無理な姿勢で操作してしまいます。失敗しない人は、できるだけ楽な姿勢で作業を進め、効率と精度を保つのです。JACSにいくつも載せています。
これは、ストレートパーマを施術する美容師たちにも全く同じことが言えます。成功する人たちは準備を怠らず、効率的に作業を進め、ミスを最小限に抑えます。彼らのプロフェッショナルな姿勢こそが、高い品質と信頼を生み出しているのです。どこにも秘密はありません。当たり前のことを追求している方達です。シスチン結合の還元酸化の収率を上げる為に色々手間暇かけているだけです。説明を聴いても、誰が聞いてもそうだと言うような事しか言わないです。大手の人に話しても、化学者に話しても、物理学者に話しても、すぐ「わかります!」「当然です!」「絶対そうです」と言ってくれました。