良くするという事

「みんな良くなりたくないのかな!」
「阪口さん、誰も良くなんかなりたくないよ」
と、若い頃に偉い人に言われました。

ダンアリエリーという医師が紹介していましたが、アメリカ国内での医師へのアンケートで、本当に良くなる忠告をしたらどういう目に合うか?というもので、大半の患者は嫌がるという結果が出て、中には100%患者から苦情が来ると言い切った方もいらっしゃったそうです。

成人病の殆どは、食べすぎの運動不足を言い換えただけだと、養老先生は言っていましたが、軽度の患者さんに「お酒を控えて、食べ過ぎないで、運動して下さい」と言っても、怒られてしまう場合があるんですね。これは現場の看護師さんもおっしゃっていました。

良い結果を出すという事は、習慣を変えるという事です。あっさりと結果を出してしまう人は、どこかで何らかの結果を出しているような人ばかりです。なんとならば、継続的に良い結果を出すにはそれしかないからです。悪い習慣に気が付いてそれを、止めるという事がとても難しいわけですね。肌、髪、を綺麗にするには、出来るだけこういう事を避けてください、こういう事を気を付けてくださいと、お話ししますが、元々気を付けていた人や、あっさりとやってしまう人は、すぐ手に入れます。でも、色々クリエイティブにぐちゃぐちゃいう人は、何もうまく行かない。それは、変わりたくない、同じ私と思いこむ癖を持っている人です。

例えば、不機嫌になって、キーキーする人がいて、それは良くない事だからやめた方が良いと言っても、まず止められないと思います。良くなるという事はそういう事ですから、非常に難しい事です。性別のせいにする人もいますが、何故どちらもそういう人がいるし、どちらも安定している人がいるんでしょうか。そして、私もキーキーが無くなって、キーキーしなくなった自分に喜んでいる人を複数知っています。キーキーする人は、周りがどれだけしんどい思いをしているかわかりませんし、それをしないだけでどれだけ周りの人が楽になるかもわかりません。それをまず、理解して、自分も周りも元気になるような人間になりたいと思うだけで、あとは自動的に良くなっていきます。自分が楽しめる、自律神経を鍛えるような事を色々やっていけば、理解が早くなります。「○○のせいだとか言っていたけど、違うとわかった!」となります。

良くするという事は、簡単ですが、簡単すぎて、受け入れられない事です。良くある話ですが、美容技術で、パーマ、カラーを良くしたいとおっしゃられるので、こうすれば良くなると説明します。すると、簡単に良くなる人と、ずっといまいちの方がいます。良くなる方は、どんどん基本を掘り下げていきますが、いまいちな方は、最初から独自のやり方を続けます。いまいちなので、色々工夫をするみたいですが、ずっといまいちです。またこちらにも問い合わせをしますが、同じ事を言われてしまって、うーんと、納得いかない様子です。正確にちゃんとやってから、不満を言ってくれればいいのですが、正確にやった人は、喜びの声しかありません。不満を言う人は、悪い習慣を止めてみないで、それをやりつつ、良くなりたいという場合です。また、無駄をそぎ落として、良い結果が出てしまったら、うたい文句が無くなると怖がる人もおりますが、結果出してしまった人は、そんな事ちっとも気にしていません。自信が売れていくからです。ここで、面白いのは、出来ない人の事です。これは、何らかの原因で、言われたことはまずは、絶対にやらないという習慣を持っています。また、これまた不思議で、何らかの原因で、変わってしまって、基本が面白くなって、どんどん結果を出してしまう人もやっぱりいます。そういう人はこういいます。「最初からこうやっていたら良かった!」と。しかし、やっぱり面白いのは、どうしてそれを受け入れたくなかったかなのですね。何らかの誘惑と恐怖があって、理にかなったことが出来なかったのです。しかし、誘惑と恐怖を克服して、やってみると、スッキリするのです。今まで何を恐れていたんだろう????となります。そういうものです。キーキーも、しなくなった人もそうで、無意識レベルでキーキーする必要が無いと分かってしまったから、しなくなっただけです。

そういう事をしていた方は、こう言いました。「それをする事によって、自分が得すると思っていました。しかし、そうじゃないとわかった。それをやり通すと、自分が一番損をする」と。

世の中には、良くなりたい人もいて、良くなる人もいます。どうしようもなかった人が、優秀になった方がちゃんといて、その人の話は、いつも面白いです。どうしようもなかった時の境地を知っているから、そこから抜け出せない人たちの気持ちも深くわかってあげられる方です。

私の祖父は優しかったのですが、若い時はワルだったからだそうです。私が生まれた時にはかしこなっていたと、祖母が言いました。ふとしたきっかけで、良くなった人は、ちょっとおせっかいになるような気がします。辛さが分かるから、ちょっとほっとけなくなるんですよね。