肌、髪を良くする。

昔、解剖学の教授で、教授を沢山育てた方がいらっしゃったそうです。他の教授が、その教授に、「どうやったらそんな優秀な生徒を育てられるのですか?」という問いに「そんなの簡単だ。生徒の邪魔をしないことだ」と一言おっしゃったそうです。

河合隼雄さんは、助言忠告はまず効果がありませんといいました。本当は何もしないのが一番良いと言います。しかし、この何もしないというのが難しいわけです。すぐ手を出したり、反応で怒るのは簡単です。ぐっと我慢して、決して希望を捨てないで関わり続ける事が大事だと言います。

膨大な資料を作り文科省に新しい学部を新設した素晴らしい先生がいました。その先生を当時引っ張ってきたのが、理事長をされていた中西進と言う方だと知り、その先生も大変面白い方だと知りました。中西先生の講義を受けるようになって、どうやったらあのような人間になれるのだろうか?と思っていました。ユーキャンの「中西進の心の講話集」を聴いていたら、このようなエピソードがありました。子どもの頃に悪い事をして、母親に、父親から話があるから呼ばれたら行くように言われたそうです。本人はあのことかと、心当たりがあり、ずっと待っていたそうです。しかし、待っても、待っても、呼ばれず。ついには夜遅くになったそうです。そして、お父さんが呼んでいると母に言われて行ってみると、部屋を暗くして奥で腕組みをして父が座っていたそうです。そして父から言われたことは「もう二度とするな」の一言だったそうです。自覚を促して、こういう事はすべきではないということを十分悟らせるということが父親の愛情だったそうです。「あれは参りました、この歳でも覚えているのですから」と、おっしゃっています。中西先生は毎日小学校から帰ると、上がり框で母親に足を洗ってもらっていたそうです。そして、あるときに、浮かない顔で学校から帰ると母親は一言「お母さんはいつも進の味方だからね」と言ったそうです。先生は「うん」とかなんとか言ってごまかして、あやうく涙ぐみそうになって、その場をたったそうです。詮索もせず、ああでも無い、こうでもないと、いじくり回すわけでもありません。ご両親は愛で接していたのです。

肌、髪を良くするのは簡単です。実際そうで無かった方が、綺麗に出来るようになった方は「簡単だ」と言うようになります。そういった方達も、最初は思い切り抵抗していました。私は多田富雄さんと、養老孟司さんと、北里柴三郎さん、の引用を設立当時は良く使っていました。尤もなことをすればいいのです。普段負担をかけている、髪肌への習慣を自覚して、コントロールしていけばいいのです。パーマ、カラー、メイクは、ちゃんと目的があって、その目的が欲しいのだから、それが悪いのでは無くて、その目的のために必要な負担を、出来るだけ減らせばいいのです。そして、ケアは、意識では無くて身体の時間ですから、自分の今の感覚を優先させるのでは無くて、身体、細胞、常在細菌、に負担をかけないもので、ケアをします。そして、そのケアも出来るだけ必要最低限にとどめます。

パーマ、カラーは、出来るだけ負担を減らしてする。そして、その後のケアは、出来るだけケラチンタンパク質に影響を与えないもので、付き合って行く。

メイクをするから、落とさなければならず。そうすると、必ず汗も落ちて、細菌の代謝物も、脱脂もされる。故に、すっぴんでなんにもしていない状態を再現して上げれば良いのです。汗と油分を、必要最低限に補ってやれば、あとは勝手に身体がやってくれます。

出来るだけ、身体や常在細菌の邪魔しない事です。身体の時間は、数十億年の秩序を出来るだけ尊重すれば良いのです。起きている時間は意識の時間でしょうが無いところもありますが、寝ている時間まで意識に振り回されて化学物質を塗りたくられると、それは不調が起こってもおかしくないでしょう。こういういい方には枚挙に暇がないですが、免疫システムのように、ああすればこうなるを続けていくと、表面意識では想定しなかった反乱が起こるわけです。ありきたりですね。体臭を消そうとするほど体臭はひどくなる。良くなろうと思うほど悪くなる。浅い論理、本当は論理では無いのだけど、論理だと思っている。それが悪くなる原因なのです。こういう話は本当は全員がどこかで聴いた話だと思うのですね。環境の話題や、経済の話題でも、ぽんと本質を語る方はそういう事をおっしゃっています。

界面活性剤が悪いとかでは無くて、もっと上手に使いましょうという事です。私は子どもの頃から理科が好きです。だから化学で豊かになって欲しいし、幸せになって欲しい。愛する化学で不幸を作りたくない。

「学問が技術を生み、技術が産業を育てる」東京理科大学の創始者が言った言葉のようです。私は適切では無い使い方の化学物質の消費が産業だとは思いません。人間前提に使用し、真の産業を育てると思っています。人間が手段に使われてはいけません。人間そのものが目的です。

“理学の普及を以て国運発展の基礎とする”
“自然・人間・社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造”

理美容の仕事は崇高なものです。選択出来る部分がとても沢山あります。それが、その街に影響を及ぼしています。